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交通事故その他

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交通事故

症状固定後の治療費

 半年ほど前、私は自動車事故で負傷しそれ以来通院していました。そんな時、保険会社の担当の方から「そろそろ症状固定にして下さい」と言われました。この「症状固定」とはどのような意味なのでしょうか?
また、症状固定後の治療費はどのような扱いになるのでしょうか?


Ans
症状固定とは、医学上一般に承認された治療によっても治療効果が期待しえない状態にあり、かつ、自然的経過によって到達すると認められている最終の状態に達したことをいいます。症状固定後の治療費は、原則として損害とは認められていません。


症状固定後の治療費

 症状固定とは簡単に言うと、通常の治療ではもうこれ以上良くならない段階であるという事です
症状固定に至ったわけですから、その後に痛みがある為痛み止めの薬を飲んでいたとしても、それはもはや痛みを和らげるだけであり、治療としての効果は期待することあができないという事になりますから、治療費として損害に含め、加害者に請求する事は出来なくなります。
 
 しかし、症状固定後であっても適切な治療を受けないと症状の悪化が予測される場合は、損害の拡大を防ぐための費用ということで症状固定後の治療費も損害として認められる場合があります。
一般的には、症状固定後の治療費は損害として認められませんので、症状固定時期を決める際には、この事も十分に考慮してあなたの担当医師と相談することが重要です。


症状固定と後遺障害

 症状固定となったからといっても、必ずしも以前の体に戻ったわけではありませんから、症状固定後も痛みがある、体が自由に動かない等の症状が残る事があります
 この場合は原則として後遺障害の問題として考えることになります。
そのような事から、症状固定後の治療費が認められない場合における症状固定後の治療費は、後遺障害における慰謝料の一部として評価されていると解する事も出来ます。


後遺障害の逸失利益

 私は、交通事故により足首を骨折してしまいました。10級11号の後遺障害が残るほどの事故でした。
現在は、何とか元の職場に復帰する事が出来るまで回復しました。そんな中、「あなたの場合は元の職場に復職し、給料も下がっていないので逸失利益は認められない」と、保険会社の示談担当者に言われたのですが、本当にそうなのでしょうか?


Ans
あなたの場合、将来の収入についての予測を考えると、ただ単に元の職場に復職できたというだけで必ずしも予測が明瞭とであるとは言えませんので、逸失利益を全く認めないとする事は妥当ではないと思われます。


後遺障害

 交通事故により負傷し、治療を継続してきたが、これ以上治療を継続しても治療の効果が望めないが、何らかの症状が残ってしまい、これに対して対処療法の必要がある状態の事を、通常、後遺症があるといいます

このように後遺症により、後遺障害が生じた場合は、後遺障害により生じた逸失利益および慰謝料を後遺障害による損害として、加害者に請求する事が出来ます。


後遺障害による逸失利益

 後遺障害が生じる事により、労働能力が低下したり場合によっては喪失してしまった為に、将来得られるはずの利益が失われる事があります。この失った利益の事を後遺障害による逸失利益といいます

 後遺障害による逸失利益を計算する場合、原則として、事故前の収入を基礎として、これに労働能力の喪失割合を乗じ、更に喪失期間に対応するライプニッツ係数または新ホフマン係数を乗じて算定します。
後遺障害による逸失利益については、2つの考え方があります。

  1. 労働能力の喪失または減少があっても、事故前より収入が減少しないのであるならば、逸失利益はないとする考え方(差額説)
  2. 労働能力の喪失または減少自体を財産的損害と据え、収入が減収したのかしないのかといった事は損害額を評価する上での資料にすぎない
    とする考え方(労働能力喪失説)

交通事故の損害賠償実務では、労働能力喪失説に立って損害額を算定するのが一般的です

最高裁は、この点について以下のようにとらえています

労働能力の喪失自体を損害と考える事が出来るとしても、その後遺症の程度が比較的軽微で被害者の従事する職業の性質から見て現在または将来における収入の減少が認められない場合は、特段の事情がない限り、労働能力の喪失を理由とする財産上の損害を認める余地はない

 この判例の立場にたっても、あなたの場合は、後遺障害の程度が比較的軽微とはいえず、元の職場に復職したとはいっても、今後の予測は困難ですので、逸失利益を全く否定する事は出来ないかと思われます。

(自動車損害賠償保障法施行令2条)


小さな株式会社の代表取締役の休業損害

 私の夫は、いわゆるたたき上げの職人であり、苦労を重ねながら小さな町工場を株式会社にして経営しており、そこで代表取締役になっております。
会社も順調だったのですが、半年位前に夫が交通事故に遭い、その間工場には殆ど行く事が出来ず、療養していました。
世間でいう所のワンマンとまではいかないまでも、会社全体としての比重はかなり大きかったと思いますので、売上もかなり減少してしまいました。
保険会社の担当者から、夫の収入は役員報酬のみだから休業損害は出せないと言われたのですが、納得いきません。本当にそうなのでしょうか?


Ans
 会社役員であっても役員報酬の中に労務提供の対価部分が認められれば、労務提供の対価部分について休業損害が認められます。
貴方の夫の場合は、一定の割合で労務提供の対価部分が認められると解されますので、その限度で休業損害を請求する事が出来ます。


休業損害

 休業損害とは、被害者が事故による受傷が原因で、治療による休業または療養するのために不十分な就業を余儀なくされた事により、本来ならば得る事が出来た収入を得る事が出来なかった事による損害をいいます
したがって、休業損害が認められるには、原則として被害者が事故当時、実際に就業による収入を得ている事が必要です。

一般的に休業損害は次のような式で算出されています。

休業損害基礎収入×休業期間


会社役員の休業損害

 会社役員の報酬には、役員として実際に稼働する事に対する対価部分と、利益配当等の実質をもつ部分とがあります

利益配当等の実質をもつ部分については、役員の地位にある限り収入源はないと考えられますから、原則として逸失利益があるかどうかについての問題は生じません。
しかし、役員として実際に稼働する事に対する対価部分については損害の発生があり、逸失利益として考慮されます。

労務提供の対価部分をどのように考えるかは、個々の企業の規模、当該役員の執行状況、その他諸般の事情を総合的に考慮して決める事になります。

今回のご質問について考えてみると、貴方の夫は町工場を経営しているという事ですから、会社の規模は小さいので役員報酬に占める労務提供の対価部分は比較的大きいと解されますので、この部分について休業損害を請求する事が出来ます。


専業主婦の休業損害額

 45歳の専業主婦です。かれこれ一年ほど前に、赤信号で停止していた所、脇見運転をしていた車に追突されてしまいました。かなりのスピードで私の車に追突してきましたので、私は一週間ほど入院をし、その後は通院治療ということになりました。
そして、やっと治療の必要がない位に回復しました。
 そのような状況で、相手方が加入している保険会社の担当者と損害額について話していたのですが、その中で、「あなたは専業主婦ですので休業損害は日額5700円で計算します」と言われました。どうも納得がいきません。公正な額なのでしょうか?


Ans
 今回の交通事故により、あなたが家事労働をする事が出来なくなった場合において、
賃金センサスの女子平均賃金を基準にして損害額が算定されるのが通常です。
日額5700円というのは、自賠責保険において、それ以上の収入の証明がない場合における日額です。


賃金センサス
 わが国の賃金に関する統計として、最も規模の大きい「賃金構造基本統計調査」のこと。調査方法は、厚生労働大臣官房政策調査部の企画の下に,都道府県労働基準局及び労働基準監督署の職員及び統計調査員による実施自計調査として行われている


家事従事者の休業損害額

 判例によりますと主婦を含めて、家事従事者が交通事故に遭い、家事に従事する事が出来なくなった場合、家事が出来なかった期間について、賃金センサスの女子平均賃金を基準にして休業損害を算定するという事になっています

この女子平均賃金の算定について判例は

  • 女子労働者の全体の平均値による
  • 被害者の年齢に対応する労働者の平均値による

これらいずれかに分かれています。
どちらについても合理性がありますので、どちらが妥当なのかとは決められません。

 主婦の休業損害について考える場合、、休業した期間の認定が実際に就業している人に比べて困難なのが実情です
そこで、実際の示談実務では、日額は自賠責の基準に基づき日額5700円で算定し、休業期間については比較的緩やかに認定するなどの微調整をして休業損害額を算定する事がありますので、この点も考慮して示談内容を検討されるのが宜しいかと思われます。


現実の収入がある主婦

 最近では、主婦もパート勤務をして、現実の収入を得ている場合が多いです。このような現実の収入がある場合の休業損害をどのように考えるかが問題となります
1つの考えとして、現実収入を平均賃金に上乗せするという考え方もあります。

判例は

  • 現実収入が平均賃金を上回る場合は現実収入を基礎とする
  • 現実収入が平均賃金を下回る場合は平均賃金を基礎とする

といったような傾向にあります。



息子が交通事故を起こした

 私の息子は高校2年生(17歳)です。先日、二輪車を盗み無免許で運転して事故を起して、年配の女性にけがを負わせてしまいました。
親として誠に申し訳ない事をしたと思っています。
息子は未成年者なのですが、損害賠償責任があるのでしょうか?また、私に関してはどうなるのでしょうか?


Ans
息子さんは、交通事故により被害者が被った損害を賠償する責任があります。場合によっては、あなたにも損害賠償責任が生じる事があると思われます。


責任能力

 未成年者が交通事故などの不法行為によって他人に損害を与えた場合であっても、未成年者に自分の行為の善し悪しを判断し、それに基づいて行動する能力(これを「責任能力」といいます)がない時は、損害賠償責任を負いません

この責任能力は、通常は12歳・13歳ぐらいになればあると解されています。したがって、あなたの息子さんは17歳ですので責任能力があると考えられ、賠償責任が生じます。

原則として、未成年者に責任能力がある場合は親権者には賠償責任は生じません。

但し最近は、未成年者に責任能力があり、監督義務者としての責任を負わない場合であっても、監督義務者に不注意があり、その不注意と未成年者の不法行為により生じた結果との間に相当因果関係がる場合には、一般の不法行為に基づいて監督義務者にも賠償責任が生じると解されています。


裁判例

 特に、最近下級審において、親には子供の行動に対して厳しく指導すべき監督義務があるという事を認め、親の不法行為責任を比較的広く認める判例が出ています

このような事から、今回の場合、息子さんが日頃から無免許で二輪車を乗り回しているのを知っていながら、あなたがその行為を放置し、何らの注意も与えていなかったような場合には、あなたにも一般の不法行為責任が生じる事があります。

(民709条、712条、714条、820条)
(刑法211条)
(道路交通法64条、90条)


レンタカー会社や販売店の責任

 先日、私は妻を乗せて車で買い物に行きました。
途中で信号のない交差点で、出会い頭に運転する相手のレンタカーと衝突してしまい、お互いに負傷者が出ました。
私の車は月賦払いで購入したもので、所有権は販売店にあります。レンタカー会社や販売店にも事故についての責任があるのでしょうか?

Ans
 月賦販売をした販売店には、原則として自動車損害賠償保障法にいう運行供用者責任はありませんので事故についての賠償責任は生じませんが、レンタカー会社については、運行供用者責任としての責任があると解されています。

レンタカー会社の運行供用者責任

 自動車損害賠償保障法に定める運行供用者責任についての説明は
交通事故 >「夫の車で妻が交通事故を起こした時は」
にありますのでそちらをご参照ください。

レンタカー会社に運行供用者責任が生じるかについては、かつての判例や学説では肯定説・否定説に分かれていたようです。
しかし、最近ではレンタカー会社の運行供用者責任を肯定する考え方が主流であり、判例も同様に考えています

その理由としては、
 レンタカー会社は、自動車の運行に対する管理制御の実を具体的に保留しているから運行支配を失ってはおらず、又レンタル料を受け取る以上運行利益も有していると解されています。

自動車などの販売会社

自動車などの販売会社(ディーラー)の販売方法は、所有権留保付割賦販売が主な販売方法です

ここで所有権留保付割賦販売とは、ディーラーが契約成立時に目的物である車を買主に引き渡すが、代金の確保のため、割賦金が完済されるまでその所有権を留保する販売方法をいいます。
この場合、所有権者である販売会社に運行供用者責任があるかが問題となります。

判例は

販売店には、実質上何らの運行支配がなく、また経済的利益の帰属についても、単に割賦販売金の確保の為に所有権を留保しているにすぎないから、運行利益がないとして運行供用者には当たらない

とし、販売店の運行供用者責任を否定しています。
但し、売主である販売店と買主との間に、何らかの特別な人的関係があり、自動車を引き渡した後も売主の運行支配・運行利益が残っていると認められる場合には、運行供用者責任が生じると解されています。

補足
 運行供用者責任は、生命、身体の被害についてのみ認められるものですから、物的損害については一般の不法行為責任として考える事になります。

(自動車損害賠償保障法3条)
(割賦販売法2条)


車を高級外車にぶつけてしまった

 先日、停車中の高級外車に私の車をぶつけてしまいました。スピードが出ていたので相手方の車は修理不能という事です。相手方は、車に高い部品を取り付けていたという事で、その部品代も含めた購入代金全額と、代車も同じ高級外車にするのが当然だ、と言っています。私はこれらの請求に応じなければならないのでしょうか?

Ans
 相手の車が修理不能だとしても、高い部品代を含めた購入金額が車両損害という事にはなりませんし、代車も同じ高級外車である必要はないと解されますので、相手の請求にそのまま応じる必要はありません

修理不能の時の車両損害

 交通事故により損害を受けた車両が、修理不能の場合あるいは修理費が車の時価を上回る場合は、全損として事故直前の交換価値を基にして賠償額が算定されるのが一般的です。

損害車両の時価額は厳密には鑑定して算出されますが、通常は、オートガイド自動車価格月報、中古車価格ガイドブックなどの査定金額を参考にして決められています。

高い部品代

 車に取り付けられた部品については、それが一般的に車の効用を高め、交換価値を高めるものであれば、相当性が認められ、交通事故から通常発生する損害と解されます。

今回の場合、相手方が取り付けた高い部品が、車の効用を高めるものであるかどうかですが、不必要に高額なものであれば相当性は否定されると解されます。

代車使用料

 事故により、車を使用する事が出来なくなった場合、その使用不能の期間に代車を使用した場合には、その必要性がある場合に限り、代車使用料も一般的に考えられる範囲内で交通事故から通常発生する損害となります。

その際に、代車は必ずしも事故にあった被害車両と同種の車である必要はないと解されていますので、被害車両が高級外車である場合、代車が高級外車を使用しなければならない特段の事情のない限り代車としては国産の高級車で十分だと解されています。

 代車の利用は、通常は修理に相当な期間であり、全損の場合は、新たな車を購入するのに相当な期間と解されています。

(民709条)



購入して1カ月の新車をぶつけられた

 先日、購入して1カ月しか経っていない新車を、一時停止をしないで脇道から暴走してきた車と追突してしまいました。修理はできるとの事ですが、かなりの破損状況でしたので、新しい車への買い替えを相手方に要求したのですが、車の買い替えには応じられないとの事です。又、代車の費用はあなたにも過失があるので出せないと言われました。そうなのでしょうか?

Ans
 原則として、修理が可能な車両損害は、修理費用相当額ですので、あなたの新しい車への買い替えの要求は認められません。しかし、過失があるからといって代車使用料は認められないという事はありません。

車両事故の場合の原則

 破損した車両が購入して間もない場合であっても、修理が可能であれば新車を要求する事はできません。修理相当額を基礎として車両損害を算定する事になります。
しかし、修理する事が技術的に可能であったとしても、修理費が被害車両の事故前の時価を超える場合には、「経済的に修理不能」という事になり、全損として事故前の車両の時価が車両損害になります。

評価損の損害

 修理しても車両としての機能や外観が完全に元通りにならない場合、事故歴により車の評価が下落する場合には、この様な価値の減少も損害となります。この算定方法については定まったものはありません。修理代金に対しての一定の割合を評価損としたり、日本自動車査定協会などの査定により評価損の額を決めたりしています。
判例では、登録後1カ月の事故で、修理代金の30%を評価損としたものがあります。

代車使用料と過失の関係

 事故により車両を使用する事が出来なくなった場合には、その使用不能の期間に代車車両を使用した場合には、その必要性がある場合に限り、代車使用料も相当性の範囲内で通常発生する損害と認められます。
しかし、被害者にも過失がある場合には、代車使用料は請求できないと言われる事がありますが、被害者の過失と代車使用料との間に関連はありません。代車使用料の損害があれば、過失相殺される事は別として、代車使用料の請求は認められます。

(民722条)



盗まれた車が事故を起こした場合

ホームセンターの駐車場に車を少しの時間だけ駐車して買い物をしようと思い、鍵をつけたまま買い物に行ってしまいました。買い物から帰ってくると車がありませんでした。この場合、誰かが私の車で事故を起こした場合、私にも責任があるのでしょうか?

Ans
エンジンキーをさしたまま車を駐車させていたのですから、誰かがあなたの車を運転して事故を起こし、人にケガを負わせた場合には、あなたにも運行供用者責任若しくは不法行為責任が生じる事があると思われます。

運行供用者

運行供用者とは、自動車損害賠償保障法に定めてある者の事ですが、一般に、その自動車についての運行支配を有し、かつ運行利益が自己にある者をいいます。この概念は法律概念であり、かなり広く解釈されています。

誰かに盗まれた場合に、車の保有者に車の保管に過失がなければ、保有者の責任はないというのが判例・通説です。

以前と現在の判例

では過失がある場合にはどうでしょう
以前は、車の保有者に過失がある場合でも、車の保有者は車を運行制御する地位にはなく、運行利益も帰属しないとして車の保有者の責任を否定していました。
しかし、近時では、客観的にみて、第三者がその車を運転する事を容認していたとみられてもやむおえない事情がある場合には、車の保有者に運行供用者責任を認めています。

今回の場合のように、鍵をつけたままホームセンターの駐車場に駐車させていたのですから、第三者が車を運転する事を容認していたものとして、運行供用者責任を肯定されても仕方がありません。

(自動車損害賠償保障法)



交通事故を起こしたらすべき事は

万一、事故を起こしたらトラブルを出来るだけ防ぐためにすべき事は?


Ans
交通事故を起こしてしまった場合

  1. 車を停止
  2. 事故状況確認
  3. 負傷者の有無、救護措置
  4. 相手方の身元確認(免許証、車検証等)
  5. 警察に事故の届出
  6. 事故現場において証拠の収集

3の救護措置は素人判断の措置をせず救急車の手配をするのが望ましい。

5において、相手方から警察へ届け出ることなく当事者で処理しようと言われる事がありますが、警察への報告する事がトラブルを未然に防ぐ方法です。この報告義務に違反すると処罰の対象になる事があります。

道路交通法72条、117条、117条の3 1項


車を運転中の携帯電話の使用

仕事が営業のため携帯電話で道順を聞きながら運転する事がよくあります。携帯電話で話しながら運転してはいけない事になったと聞きましたが、どうなのでしょう?

Ans
道路交通法の一部が改正され平成11年11月1日から携帯電話で話しながら車を運転してはいけない事になりました。運転者の遵守事項に違反する事になります。

但し、規制を受けるのは携帯電話、自動車電話で、その全部又は一部を手で保持しなければ送受信できないものに限られます。
したがって、マイクや受信装置があり、手で保持しなくても話が出来るものについては大丈夫です
この他に、カーナビやカーテレビを注視する事も運転者の遵守義務違反になります。

これらの違反をして道路における危険を生じさせた場合、3カ月以下の懲役または5万円以下の罰金に処せられます。(反則金で済む場合は2万円以下の反則金)

その他、道路交通法施行令により、運転中の携帯電話使用に対して2点の減点が基礎点数に課されます。


チャイルドシードの装着

道路交通法の一部改正により、チャイルドシートについてもなにか変わった事があるのでしょうか?

Ans
自動車運転者は幼児補助装置(チャイルドシート)を使用しない幼児を乗車させて自動車を運転してはいけない事になりました。

但し、病気のため幼児補助装置を使用させる事が療養上適当でない幼児を乗車させる時、その他、政令で定められているやむおえない理由がある時は、幼児補助装置を使用しなくてもよいとされています。

この違反については、罰則はありませんが、道路交通法施行令により、チャイルドシート使用義務違反として1点の減点が基礎点数に課されます。


夫の車で妻が交通事故を起こした時は

夫の車を運転して子供を幼稚園に送り迎えしています。先日、送っている途中、横断歩道を横断中の子供をはねてケガを負わせてしまいました。私に責任はあると思うのですが、夫についてはどうなのでしょうか?

Ans
運転者の貴方に責任はありますし、夫についても運行供用者として責任を負う事になります。

車を運転して、他人にケガを負わせた場合、運転者は一般の不法行為責任として損害賠償責任を負いますし、自動車損害賠償保障法(自賠法)で運行供用者責任を課されます。

運行供用者責任とは

運行供用者とは
自己のために自動車を運行の用に供する者

と定義されていて、自動車の運行についての支配権とそれによる利益が帰属するか否かで判断されます。
判例は運行供用者の範囲を広く解していて、無断運転や泥棒運転でも自動車の所有者等と運転者との人間関係や自動車の運転状況や管理状況によって所有者等に運行供用者責任を課しています。

父親の車を友達が運転して人身事故を起こした事案で、父親は運行供用者にあたるという判例も有ります。


会社の車で交通事故を起こした場合は

会社の従業員が休日に無断で会社の車を持ち出し、運転を誤って歩行中の人をはねて負傷させてしまいました。会社に損害賠償責任はありますか?

Ans
会社は自動車損害賠償保障法(自賠法)にいう所の、運行供用者としての責任を負います

判例は自動車損害賠償保障法に定める運行供用者の範囲を広く解しています
被用者(従業員)が雇用者に無断で車を持ち出し、私用運転中に事故を起こしたとしても、原則として車の保有者である雇用者(会社、雇主)に運行供用者責任を課しています。
又、会社が車のキーを十分管理していなかった点も責任が肯定されます。

(民715条)
(自動車損害賠償保障法3条)


雇主の責任

赤信号で停止中、わき見運転をしたタクシーに追突されて車が壊れてしまいました。幸いけがはなかったのですが、誰に対して、この損害の賠償を請求する事ができるのでしょうか?

Ans
当然に、タクシーの運転手に対して損害賠償請求する事ができますし、タクシー運転手がタクシー会社の従業員でしたらタクシー会社に対しても、使用者責任を求める事ができます。また、赤信号で停止して追突されしまったので貴方に過失はありません。

追突事故の場合は、追突された車の運転手に過失はないと解されています。そうなりますと、加害者に対して100%の責任を求める事ができます。しかし、追突された車が急ブレーキをかけたために追突事故が発生した場合は、追突された車の運転手に30%程度の過失があったとされています。

使用者責任

 事業を行っている者(使用者)が、その事業を行うために他人(被用者)を使用していて、その他人(被用者)がその事業の執行を行うにあたり、第三者に対して違法に損害を与えた場合、使用者はその損害にたしいて賠償をする責任を負う事がありますこれを一般に「使用者責任」といいます。

交通事故に関して、使用者責任が成立するためには

  1. 自動車事故を起こした者と使用者との関係が「ある事業のために人を使用する」である必要がある
    ⇒一方が他方を実質的に指揮監督して仕事をさせるという関係で足りる
  2. 使用者の「事業の執行」について交通事故を起こしてしまった
    ⇒行為の外形が職務執行行為にあたるか否かによる(外形標準説)

というのが従来の判例ですが、「事業の執行」の概念は、かなり広い意味に解されています。

運行供用者責任

自動車損害賠償保障法で定める運行供用者責任については、生命身体に損害を与えた場合、つまり人身事故についてのみに発生する責任ですので、今回は物損事故ですので適用されません。

(民715条)
(自動車損害賠償保障法3条)

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