法令集
法令集
このサイトで参考として紹介しました民法の条文です。
民法
1条~
1条
- 私権は、公共の福祉に適合しなければならない。
- 権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。
- 権利の濫用は、これを許さない
4条
- 年齢二十歳をもって、成年とする
5条
- 未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない
- 前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる
- 第一項の規定にかかわらず、法定代理人が目的を定めて処分を許した財産は、その目的の範囲内において、未成年者が自由に処分することができる。目的を定めないで処分を許した財産を処分するときも、同様とする
7条
- 精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、後見開始の審判をすることができる
8条
- 後見開始の審判を受けた者は、成年被後見人とし、これに成年後見人を付する
9条
- 成年被後見人の法律行為は、取り消すことができる。ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、この限りでない
11条
- 精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分である者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、後見人、後見監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、保佐開始の審判をすることができる。ただし、第七条に規定する原因がある者については、この限りでない
12条
- 保佐開始の審判を受けた者は、被保佐人とし、これに保佐人を付する
13条
- 被保佐人が次に掲げる行為をするには、その保佐人の同意を得なければならない。ただし、第九条ただし書に規定する行為については、この限りでない
ⅰ 元本を領収し、又は利用すること
ⅱ 借財又は保証をすること
ⅲ 不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為をすること
ⅳ 訴訟行為をすること
ⅴ 贈与、和解又は仲裁合意(仲裁法 (平成十五年法律第百三十八号)第二条第一
項に規定する仲裁合意をいう。)をすること
ⅵ 相続の承認若しくは放棄又は遺産の分割をすること
ⅶ 贈与の申込みを拒絶し、遺贈を放棄し、負担付贈与の申込みを承諾し、又は負担
付遺贈を承認すること
ⅷ 新築、改築、増築又は大修繕をすること
ⅸ 第六百二条に定める期間を超える賃貸借をすること - 家庭裁判所は、第十一条本文に規定する者又は保佐人若しくは保佐監督人の請求により、被保佐人が前項各号に掲げる行為以外の行為をする場合であってもその保佐人の同意を得なければならない旨の審判をすることができる。ただし、第九条ただし書に規定する行為については、この限りでない
- 保佐人の同意を得なければならない行為について、保佐人が被保佐人の利益を害するおそれがないにもかかわらず同意をしないときは、家庭裁判所は、被保佐人の請求により、保佐人の同意に代わる許可を与えることができる
- 保佐人の同意を得なければならない行為であって、その同意又はこれに代わる許可を得ないでしたものは、取り消すことができる
15条
- 精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分である者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人又は検察官の請求により、補助開始の審判をすることができる。ただし、第七条又は第十一条本文に規定する原因がある者については、この限りでない
- 本人以外の者の請求により補助開始の審判をするには、本人の同意がなければならない
- 補助開始の審判は、第十七条第一項の審判又は第八百七十六条の九第一項の審判とともにしなければならない
16条
- 補助開始の審判を受けた者は、被補助人とし、これに補助人を付する
17条
- 家庭裁判所は、第十五条第一項本文に規定する者又は補助人若しくは補助監督人の請求により、被補助人が特定の法律行為をするにはその補助人の同意を得なければならない旨の審判をすることができる。ただし、その審判によりその同意を得なければならないものとすることができる行為は、第十三条第一項に規定する行為の一部に限る
- 本人以外の者の請求により前項の審判をするには、本人の同意がなければならない
- 補助人の同意を得なければならない行為について、補助人が被補助人の利益を害するおそれがないにもかかわらず同意をしないときは、家庭裁判所は、被補助人の請求により、補助人の同意に代わる許可を与えることができる
- 補助人の同意を得なければならない行為であって、その同意又はこれに代わる許可を得ないでしたものは、取り消すことができる
20条
- 制限行為能力者(未成年者、成年被後見人、被保佐人及び第十七条第一項の審判を受けた被補助人をいう。以下同じ。)の相手方は、その制限行為能力者が行為能力者(行為能力の制限を受けない者をいう。以下同じ。)となった後、その者に対し、一箇月以上の期間を定めて、その期間内にその取り消すことができる行為を追認するかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。この場合において、その者がその期間内に確答を発しないときは、その行為を追認したものとみなす
- 制限行為能力者の相手方が、制限行為能力者が行為能力者とならない間に、その法定代理人、保佐人又は補助人に対し、その権限内の行為について前項に規定する催告をした場合において、これらの者が同項の期間内に確答を発しないときも、同項後段と同様とする
- 特別の方式を要する行為については、前二項の期間内にその方式を具備した旨の通知を発しないときは、その行為を取り消したものとみなす
- 制限行為能力者の相手方は、被保佐人又は第十七条第一項の審判を受けた被補助人に対しては、第一項の期間内にその保佐人又は補助人の追認を得るべき旨の催告をすることができる。この場合において、その被保佐人又は被補助人がその期間内にその追認を得た旨の通知を発しないときは、その行為を取り消したものとみなす
21条
- 制限行為能力者が行為能力者であることを信じさせるため詐術を用いたときは、その行為を取り消すことができない
90条
- 公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする
93条
- 意思表示は、表意者がその真意ではないことを知ってしたときであっても、そのためにその効力を妨げられない。ただし、相手方が表意者の真意を知り、又は知ることができたときは、その意思表示は、無効とする。
95条
- 意思表示は、法律行為の要素に錯誤があったときは、無効とする。ただし、表意者に重大な過失があったときは、表意者は、自らその無効を主張することができない。
96条
- 詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる
- 相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合においては、相手方がその事実を知っていたときに限り、その意思表示を取り消すことができる
- 前二項の規定による詐欺による意思表示の取消しは、善意の第三者に対抗することができない
100条~
109条
- 第三者に対して他人に代理権を与えた旨を表示した者は、その代理権の範囲内においてその他人が第三者との間でした行為について、その責任を負う。ただし、第三者が、その他人が代理権を与えられていないことを知り、又は過失によって知らなかったときは、この限りでない
110条
- 前条本文の規定は、代理人がその権限外の行為をした場合において、第三者が代理人の権限があると信ずべき正当な理由があるときについて準用する
112条
- 代理権の消滅は、善意の第三者に対抗することができない。ただし、第三者が過失によってその事実を知らなかったときは、この限りでない
113条
- 代理権を有しない者が他人の代理人としてした契約は、本人がその追認をしなければ、本人に対してその効力を生じない
- 追認又はその拒絶は、相手方に対してしなければ、その相手方に対抗することができない。ただし、相手方がその事実を知ったときは、この限りでない
116条
- 追認は、別段の意思表示がないときは、契約の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない
120条
- 行為能力の制限によって取り消すことができる行為は、制限行為能力者又はその代理人、承継人若しくは同意をすることができる者に限り、取り消すことができる
- 詐欺又は強迫によって取り消すことができる行為は、瑕疵ある意思表示をした者又はその代理人若しくは承継人に限り、取り消すことができる
121条
- 取り消された行為は、初めから無効であったものとみなす。ただし、制限行為能力者は、その行為によって現に利益を受けている限度において、返還の義務を負う
122条
- 取り消すことができる行為は、第百二十条に規定する者が追認したときは、以後、取り消すことができない。ただし、追認によって第三者の権利を害することはできない
123条
- 取り消すことができる行為の相手方が確定している場合には、その取消し又は追認は、相手方に対する意思表示によってする
124条
- 追認は、取消しの原因となっていた状況が消滅した後にしなければ、その効力を生じない
- 成年被後見人は、行為能力者となった後にその行為を了知したときは、その了知をした後でなければ、追認をすることができない
- 前二項の規定は、法定代理人又は制限行為能力者の保佐人若しくは補助人が追認をする場合には、適用しない
125条
- 前条の規定により追認をすることができる時以後に、取り消すことができる行為について次に掲げる事実があったときは、追認をしたものとみなす。ただし、異議をとどめたときは、この限りでない
ⅰ 全部又は一部の履行
ⅱ 履行の請求
ⅲ 更改
ⅳ 担保の供与
ⅴ 取り消すことができる行為によって取得した権利の全部又は一部の譲渡
ⅵ 強制執行
137条
- 次に掲げる場合には、債務者は、期限の利益を主張することができない。
ⅰ 債務者が破産手続開始の決定を受けたとき。
ⅱ 債務者が担保を滅失させ、損傷させ、又は減少させたとき。
ⅲ 債務者が担保を供する義務を負う場合において、これを供しないとき
145条
- 時効は、当事者が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができない
147条
- 時効は、次に掲げる事由によって中断する。
一 請求
二 差押え、仮差押え又は仮処分
三 承認
156条
- 時効の中断の効力を生ずべき承認をするには、相手方の権利についての処分につき行為能力又は権限があることを要しない
157条
- 中断した時効は、その中断の事由が終了した時から、新たにその進行を始める
- 裁判上の請求によって中断した時効は、裁判が確定した時から、新たにその進行を始める
162条
- 二十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得する。 十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その占有の開始の時に、善意であり、かつ、過失がなかったときは、その所有権を取得する。
164条
- 第百六十二条の規定による時効は、占有者が任意にその占有を中止し、又は他人によってその占有を奪われたときは、中断する。
167条
- 債権は、十年間行使しないときは、消滅する
- 債権又は所有権以外の財産権は、二十年間行使しないときは、消滅する
169条
- 年又はこれより短い時期によって定めた金銭その他の物の給付を目的とする債権は、五年間行使しないときは、消滅する
177条
- 不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法 (平成十六年法律第百二十三号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。
186条
- 占有者は、所有の意思をもって、善意で、平穏に、かつ、公然と占有をするものと推定する
- 前後の両時点において占有をした証拠があるときは、占有は、その間継続したものと推定する。
192条
- 取引行為によって、平穏に、かつ、公然と動産の占有を始めた者は、善意であり、かつ、過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得する
193条
- 前条の場合において、占有物が盗品又は遺失物であるときは、被害者又は遺失者は、盗難又は遺失の時から二年間、占有者に対してその物の回復を請求することができる
200条~
209条
- 土地の所有者は、境界又はその付近において障壁又は建物を築造し又は修繕するため必要な範囲内で、隣地の使用を請求することができる。ただし、隣人の承諾がなければ、その住家に立ち入ることはできない
- 前項の場合において、隣人が損害を受けたときは、その償金を請求することができる
210条
- 他の土地に囲まれて公道に通じない土地の所有者は、公道に至るため、その土地を囲んでいる他の土地を通行することができる。
- 池沼、河川、水路若しくは海を通らなければ公道に至ることができないとき、又は崖があって土地と公道とに著しい高低差があるときも、前項と同様とする。
211条
- 前条の場合には、通行の場所及び方法は、同条の規定による通行権を有する者のために必要であり、かつ、他の土地のために損害が最も少ないものを選ばなければならない。
- 前条の規定による通行権を有する者は、必要があるときは、通路を開設することができる。
212条
- 第二百十条の規定による通行権を有する者は、その通行する他の土地の損害に対して償金を支払わなければならない。ただし、通路の開設のために生じた損害に対するものを除き、一年ごとにその償金を支払うことができる。
213条
- 分割によって公道に通じない土地が生じたときは、その土地の所有者は、公道に至るため、他の分割者の所有地のみを通行することができる。この場合においては、償金を支払うことを要しない
- 前項の規定は、土地の所有者がその土地の一部を譲り渡した場合について準用する
218条
- 土地の所有者は、直接に雨水を隣地に注ぐ構造の屋根その他の工作物を設けてはならない
225条
- 二棟の建物がその所有者を異にし、かつ、その間に空地があるときは、各所有者は、他の所有者と共同の費用で、その境界に囲障を設けることができる。
- 当事者間に協議が調わないときは、前項の囲障は、板塀又は竹垣その他これらに類する材料のものであって、かつ、高さ二メートルのものでなければならない。
226条
- 前条の囲障の設置及び保存の費用は、相隣者が等しい割合で負担する。
227条
- 相隣者の一人は、第二百二十五条第二項に規定する材料より良好なものを用い、又は同項に規定する高さを増して囲障を設けることができる。ただし、これによって生ずる費用の増加額を負担しなければならない。
228条
- 前三条の規定と異なる慣習があるときは、その慣習に従う。
233条
- 隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、その竹木の所有者に、その枝を切除させることができる。
- 隣地のの竹木の根が境界線を越えるときは、その根を切り取ることができる。
239条
- 所有者のない動産は、所有の意思をもって占有することによって、その所有権を取得する。
- 所有者のない不動産は、国庫に帰属する。
249条
- 各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる。
250条
- 各共有者の持分は、相等しいものと推定する
251条
- 各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更を加えることができない
252条
- 共有物の管理に関する事項は、前条の場合を除き、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する。ただし、保存行為は、各共有者がすることができる
253条
- 各共有者は、その持分に応じ、管理の費用を支払い、その他共有物に関する負担を負う。
- 共有者が一年以内に前項の義務を履行しないときは、他の共有者は、相当の償金を支払ってその者の持分を取得することができる
254条
- 共有者の一人が共有物について他の共有者に対して有する債権は、その特定承継人に対しても行使することができる
255条
- 共有者の一人が、その持分を放棄したとき、又は死亡して相続人がないときは、その持分は、他の共有者に帰属する
256条
- 各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができる。ただし、五年を超えない期間内は分割をしない旨の契約をすることを妨げない。
前項ただし書の契約は、更新することができる。ただし、その期間は、更新の時から五年を超えることができない
257条
- 前条の規定は、第二百二十九条に規定する共有物については、適用しない
258条
- 共有物の分割について共有者間に協議が調わないときは、その分割を裁判所に請求することができる。
- 前項の場合において、共有物の現物を分割することができないとき、又は分割によってその価格を著しく減少させるおそれがあるときは、裁判所は、その競売を命ずることができる
259条
- 共有者の一人が他の共有者に対して共有に関する債権を有するときは、分割に際し、債務者に帰属すべき共有物の部分をもって、その弁済に充てることができる。
- 債権者は、前項の弁済を受けるため債務者に帰属すべき共有物の部分を売却する必要があるときは、その売却を請求することができる
260条
- 共有物について権利を有する者及び各共有者の債権者は、自己の費用で、分割に参加することができる。
- 前項の規定による参加の請求があったにもかかわらず、その請求をした者を参加させないで分割をしたときは、その分割は、その請求をした者に対抗することができない
261条
- 各共有者は、他の共有者が分割によって取得した物について、売主と同じく、その持分に応じて担保の責任を負う
262条
- 分割が完了したときは、各分割者は、その取得した物に関する証書を保存しなければならない。
- 共有者の全員又はそのうちの数人に分割した物に関する証書は、その物の最大の部分を取得した者が保存しなければならない。
- 前項の場合において、最大の部分を取得した者がないときは、分割者間の協議で証書の保存者を定める。協議が調わないときは、裁判所が、これを指定する。
- 証書の保存者は、他の分割者の請求に応じて、その証書を使用させなければならない
263条
- 共有の性質を有する入会権については、各地方の慣習に従うほか、この節の規定を適用する
264条
- この節の規定(共有249条~263条)は、数人で所有権以外の財産権を有する場合について準用する。ただし、法令に特別の定めがあるときは、この限りでない
280条
- 地役権者は、設定行為で定めた目的に従い、他人の土地を自己の土地の便益に供する権利を有する。ただし、第三章第一節(所有権の限界)の規定(公の秩序に関するものに限る。)に違反しないものでなければならない。
300条~
311条
- 次に掲げる原因によって生じた債権を有する者は、債務者の特定の動産について先取特権を有する。
一 不動産の賃貸借
二 旅館の宿泊
三 旅客又は荷物の運輸
四 動産の保存
五 動産の売買
六 種苗又は肥料(蚕種又は蚕の飼養に供した桑葉を含む。以下同じ。)の供給
七 農業の労務
八 工業の労務
369条
- 抵当権者は、債務者又は第三者が占有を移転しないで債務の担保に供した不動産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する
- 地上権及び永小作権も、抵当権の目的とすることができる。この場合においては、この章の規定を準用する
370条
- 抵当権は、抵当地の上に存する建物を除き、その目的である不動産(以下「抵当不動産」という。)に付加して一体となっている物に及ぶ。ただし、設定行為に別段の定めがある場合及び第四百二十四条の規定により債権者が債務者の行為を取り消すことができる場合は、この限りでない
376条
- 抵当権者は、その抵当権を他の債権の担保とし、又は同一の債務者に対する他の債権者の利益のためにその抵当権若しくはその順位を譲渡し、若しくは放棄することができる。
- 前項の場合において、抵当権者が数人のためにその抵当権の処分をしたときは、その処分の利益を受ける者の権利の順位は、抵当権の登記にした付記の前後による。
377条
- 前条の場合には、第四百六十七条の規定に従い、主たる債務者に抵当権の処分を通知し、又は主たる債務者がこれを承諾しなければ、これをもって主たる債務者、保証人、抵当権設定者及びこれらの者の承継人に対抗することができない。
- 主たる債務者が前項の規定により通知を受け、又は承諾をしたときは、抵当権の処分の利益を受ける者の承諾を得ないでした弁済は、その受益者に対抗することができない
378条
- 抵当不動産について所有権又は地上権を買い受けた第三者が、抵当権者の請求に応じてその抵当権者にその代価を弁済したときは、抵当権は、その第三者のために消滅する
379条
- 抵当不動産の第三取得者は、第三百八十三条の定めるところにより、抵当権消滅請求をすることができる
380条
- 主たる債務者、保証人及びこれらの者の承継人は、抵当権消滅請求をすることができない
381条
- 抵当不動産の停止条件付第三取得者は、その停止条件の成否が未定である間は、抵当権消滅請求をすることができない
382条
- 抵当不動産の第三取得者は、抵当権の実行としての競売による差押えの効力が発生する前に、抵当権消滅請求をしなければならない
383条
抵当不動産の第三取得者は、抵当権消滅請求をするときは、登記をした各債権者に対し、次に掲げる書面を送付しなければならない
- 取得の原因及び年月日、譲渡人及び取得者の氏名及び住所並びに抵当不動産の性質、所在及び代価その他取得者の負担を記載した書面
- 抵当不動産に関する登記事項証明書(現に効力を有する登記事項のすべてを証明したものに限る。)
- 債権者が二箇月以内に抵当権を実行して競売の申立てをしないときは、抵当不動産の第三取得者が第一号に規定する代価又は特に指定した金額を債権の順位に従って弁済し又は供託すべき旨を記載した書面
384条
次に掲げる場合には、前条各号に掲げる書面の送付を受けた債権者は、抵当不動産の第三取得者が同条第三号に掲げる書面に記載したところにより提供した同号の代価又は金額を承諾したものとみなす
- その債権者が前条各号に掲げる書面の送付を受けた後二箇月以内に抵当権を実行して競売の申立てをしないとき。
- その債権者が前号の申立てを取り下げたとき。
- 第一号の申立てを却下する旨の決定が確定したとき。
- 第一号の申立てに基づく競売の手続を取り消す旨の決定(民事執行法第百八十八条 において準用する同法第六十三条第三項 若しくは第六十八条の三第三項 の規定又は同法第百八十三条第一項第五号 の謄本が提出された場合における同条第二項 の規定による決定を除く。)が確定したとき
385条
- 第三百八十三条各号に掲げる書面の送付を受けた債権者は、前条第一号の申立てをするときは、同号の期間内に、債務者及び抵当不動産の譲渡人にその旨を通知しなければならない
386条
- 登記をしたすべての債権者が抵当不動産の第三取得者の提供した代価又は金額を承諾し、かつ、抵当不動産の第三取得者がその承諾を得た代価又は金額を払い渡し又は供託したときは、抵当権は、消滅する
387条
- 登記をした賃貸借は、その登記前に登記をした抵当権を有するすべての者が同意をし、かつ、その同意の登記があるときは、その同意をした抵当権者に対抗することができる
- 抵当権者が前項の同意をするには、その抵当権を目的とする権利を有する者その他抵当権者の同意によって不利益を受けるべき者の承諾を得なければならない
388条
- 土地及びその上に存する建物が同一の所有者に属する場合において、その土地又は建物につき抵当権が設定され、その実行により所有者を異にするに至ったときは、その建物について、地上権が設定されたものとみなす。この場合において、地代は、当事者の請求により、裁判所が定める
400条~
415条
- 債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。債務者の責めに帰すべき事由によって履行をすることができなくなったときも、同様とする
417条
- 損害賠償は、別段の意思表示がないときは、金銭をもってその額を定める
420条
- 当事者は、債務の不履行について損害賠償の額を予定することができる。この場合において、裁判所は、その額を増減することができない
- 賠償額の予定は、履行の請求又は解除権の行使を妨げない
- 違約金は、賠償額の予定と推定する
427条
- 数人の債権者又は債務者がある場合において、別段の意思表示がないときは、各債権者又は各債務者は、それぞれ等しい割合で権利を有し、又は義務を負う。
446条
- 保証人は、主たる債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責任を負う。
- 保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない。
- 保証契約がその内容を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)によってされたときは、その保証契約は、書面によってされたものとみなして、前項の規定を適用する。
449条
- 行為能力の制限によって取り消すことができる債務を保証した者は、保証契約の時においてその取消しの原因を知っていたときは、主たる債務の不履行の場合又はその債務の取消しの場合においてこれと同一の目的を有する独立の債務を負担したものと推定する。
450条
- 債務者が保証人を立てる義務を負う場合には、その保証人は、次に掲げる要件を具備する者でなければならない。
ⅰ行為能力者であること
ⅱ弁済をする資力を有すること - 保証人が前項第二号に掲げる要件を欠くに至ったときは、債権者は、同項各号に掲げる要件を具備する者をもってこれに代えることを請求することができる
- 前二項の規定は、債権者が保証人を指名した場合には、適用しない
452条
- 債権者が保証人に債務の履行を請求したときは、保証人は、まず主たる債務者に催告をすべき旨を請求することができる。ただし、主たる債務者が破産手続開始の決定を受けたとき、又はその行方が知れないときは、この限りでない。
453条
- 債権者が前条の規定に従い主たる債務者に催告をした後であっても、保証人が主たる債務者に弁済をする資力があり、かつ、執行が容易であることを証明したときは、債権者は、まず主たる債務者の財産について執行をしなければならない。
456条
- 数人の保証人がある場合には、それらの保証人が各別の行為により債務を負担したときであっても、第四百二十七条の規定を適用する。
465条の2
- 一定の範囲に属する不特定の債務を主たる債務とする保証契約(以下「根保証契約」という。)であってその債務の範囲に金銭の貸渡し又は手形の割引を受けることによって負担する債務(以下「貸金等債務」という。)が含まれるもの(保証人が法人であるものを除く。以下「貸金等根保証契約」という。)の保証人は、主たる債務の元本、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たるすべてのもの及びその保証債務について約定された違約金又は損害賠償の額について、その全部に係る極度額を限度として、その履行をする責任を負う
- 貸金等根保証契約は、前項に規定する極度額を定めなければ、その効力を生じない
- 第四百四十六条第二項及び第三項の規定は、貸金等根保証契約における第一項に規定する極度額の定めについて準用する
465条の3
- 貸金等根保証契約において主たる債務の元本の確定すべき期日(以下「元本確定期日」という。)の定めがある場合において、その元本確定期日がその貸金等根保証契約の締結の日から五年を経過する日より後の日と定められているときは、その元本確定期日の定めは、その効力を生じない
- 貸金等根保証契約において元本確定期日の定めがない場合(前項の規定により元本確定期日の定めがその効力を生じない場合を含む。)には、その元本確定期日は、その貸金等根保証契約の締結の日から三年を経過する日とする
- 貸金等根保証契約における元本確定期日の変更をする場合において、変更後の元本確定期日がその変更をした日から五年を経過する日より後の日となるときは、その元本確定期日の変更は、その効力を生じない。ただし、元本確定期日の前二箇月以内に元本確定期日の変更をする場合において、変更後の元本確定期日が変更前の元本確定期日から五年以内の日となるときは、この限りでない
- 第四百四十六条第二項及び第三項の規定は、貸金等根保証契約における元本確定期日の定め及びその変更(その貸金等根保証契約の締結の日から三年以内の日を元本確定期日とする旨の定め及び元本確定期日より前の日を変更後の元本確定期日とする変更を除く。)について準用する
465条の4
- 次に掲げる場合には、貸金等根保証契約における主たる債務の元本は、確定する
ⅰ債権者が、主たる債務者又は保証人の財産について、金銭の支払を目的とする
債権についての強制執行又は担保権の実行を申し立てたとき。
ただし、強制執行又は担保権の実行の手続の開始があったときに限る
ⅱ主たる債務者又は保証人が破産手続開始の決定を受けたとき
ⅲ主たる債務者又は保証人が死亡したとき。
467条
- 指名債権の譲渡は、譲渡人が債務者に通知をし、又は債務者が承諾をしなければ、債務者その他の第三者に対抗することができない。
- 前項の通知又は承諾は、確定日付のある証書によってしなければ、債務者以外の第三者に対抗することができない
485条
- 弁済の費用について別段の意思表示がないときは、その費用は、債務者の負担とする。ただし、債権者が住所の移転その他の行為によって弁済の費用を増加させたときは、その増加額は、債権者の負担とする
500条~
513条
- 当事者が債務の要素を変更する契約をしたときは、その債務は、更改によって消滅する
- 条件付債務を無条件債務としたとき、無条件債務に条件を付したとき、又は債務の条件を変更したときは、いずれも債務の要素を変更したものとみなす
517条
- 更改によって生じた債務が、不法な原因のため又は当事者の知らない事由によって成立せず又は取り消されたときは、更改前の債務は、消滅しない
518条
- 更改の当事者は、更改前の債務の目的の限度において、その債務の担保として設定された質権又は抵当権を更改後の債務に移すことができる。ただし、第三者がこれを設定した場合には、その承諾を得なければならない
526条
- 隔地者間の契約は、承諾の通知を発した時に成立する。
- 申込者の意思表示又は取引上の慣習により承諾の通知を必要としない場合には、契約は、承諾の意思表示と認めるべき事実があった時に成立する。
527条
- 申込みの撤回の通知が承諾の通知を発した後に到達した場合であっても、通常の場合にはその前に到達すべき時に発送したものであることを知ることができるときは、承諾者は、遅滞なく、申込者に対してその延着の通知を発しなければならない。
- 承諾者が前項の延着の通知を怠ったときは、契約は、成立しなかったものとみなす。
540条
- 契約又は法律の規定により当事者の一方が解除権を有するときは、その解除は、相手方に対する意思表示によってする。
- 前項の意思表示は、撤回することができない。
545条
- 当事者の一方がその解除権を行使したときは、各当事者は、その相手方を原状に復させる義務を負う。ただし、第三者の権利を害することはできない
- 前項本文の場合において、金銭を返還するときは、その受領の時から利息を付さなければならない
- 解除権の行使は、損害賠償の請求を妨げない
548条
- 解除権を有する者が自己の行為若しくは過失によって契約の目的物を著しく損傷し、若しくは返還することができなくなったとき、又は加工若しくは改造によってこれを他の種類の物に変えたときは、解除権は、消滅する。
- 契約の目的物が解除権を有する者の行為又は過失によらないで滅失し、又は損傷したときは、解除権は、消滅しない。
549条
- 贈与は、当事者の一方が自己の財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる
550条
- 書面によらない贈与は、各当事者が撤回することができる。ただし、履行の終わった部分については、この限りでない
553条
- 負担付贈与については、この節に定めるもののほか、その性質に反しない限り、双務契約に関する規定を準用する
554条
- 贈与者の死亡によって効力を生ずる贈与については、その性質に反しない限り、遺贈に関する規定を準用する
556条
- 売買の一方の予約は、相手方が売買を完結する意思を表示した時から、売買の効力を生ずる
- 前項の意思表示について期間を定めなかったときは、予約者は、相手方に対し、相当の期間を定めて、その期間内に売買を完結するかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。この場合において、相手方がその期間内に確答をしないときは、売買の一方の予約は、その効力を失う
557条
- 買主が売主に手付を交付したときは、当事者の一方が契約の履行に着手するまでは、買主はその手付を放棄し、売主はその倍額を償還して、契約の解除をすることができる
- 第五百四十五条第三項の規定は、前項の場合には、適用しない
560条
- 他人の権利を売買の目的としたときは、売主は、その権利を取得して買主に移転する義務を負う
561条
- 前条の場合において、売主がその売却した権利を取得して買主に移転することができないときは、買主は、契約の解除をすることができる。この場合において、契約の時においてその権利が売主に属しないことを知っていたときは、損害賠償の請求をすることができない
566条
- 売買の目的物が地上権、永小作権、地役権、留置権又は質権の目的である場合において、買主がこれを知らず、かつ、そのために契約をした目的を達することができないときは、買主は、契約の解除をすることができる。この場合において、契約の解除をすることができないときは、損害賠償の請求のみをすることができる
- 前項の規定は、売買の目的である不動産のために存すると称した地役権が存しなかった場合及びその不動産について登記をした賃貸借があった場合について準用する。
- 前二項の場合において、契約の解除又は損害賠償の請求は、買主が事実を知った時から一年以内にしなければならない。
568条
- 強制競売における買受人は、第五百六十一条から前条までの規定により、債務者に対し、契約の解除をし、又は代金の減額を請求することができる。
- 前項の場合において、債務者が無資力であるときは、買受人は、代金の配当を受けた債権者に対し、その代金の全部又は一部の返還を請求することができる。
- 前二項の場合において、債務者が物若しくは権利の不存在を知りながら申し出なかったとき、又は債権者がこれを知りながら競売を請求したときは、買受人は、これらの者に対し、損害賠償の請求をすることができる
570条
- 売買の目的物に隠れた瑕疵があったときは、第五百六十六条の規定を準用する。ただし、強制競売の場合は、この限りでない。
587条
- 消費貸借は、当事者の一方が種類、品質及び数量の同じ物をもって返還をすることを約して相手方から金銭その他の物を受け取ることによって、その効力を生ずる
588条
- 消費貸借によらないで金銭その他の物を給付する義務を負う者がある場合において、当事者がその物を消費貸借の目的とすることを約したときは、消費貸借は、これによって成立したものとみなす
589条
- 消費貸借の予約は、その後に当事者の一方が破産手続開始の決定を受けたときは、その効力を失う
593条
- 使用貸借は、当事者の一方が無償で使用及び収益をした後に返還をすることを約して相手方からある物を受け取ることによって、その効力を生ずる
594条
- 借主は、契約又はその目的物の性質によって定まった用法に従い、その物の使用及び収益をしなければならない。
- 借主は、貸主の承諾を得なければ、第三者に借用物の使用又は収益をさせることができない。
- 借主が前二項の規定に違反して使用又は収益をしたときは、貸主は、契約の解除をすることができる
597条
- 借主は、契約に定めた時期に、借用物の返還をしなければならない
- 当事者が返還の時期を定めなかったときは、借主は、契約に定めた目的に従い使用及び収益を終わった時に、返還をしなければならない。ただし、その使用及び収益を終わる前であっても、使用及び収益をするのに足りる期間を経過したときは、貸主は、直ちに返還を請求することができる。
- 当事者が返還の時期並びに使用及び収益の目的を定めなかったときは、貸主は、いつでも返還を請求することができる
599条
- 使用貸借は、借主の死亡によって、その効力を失う
600条~
601条
- 賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うことを約することによって、その効力を生ずる
602条
- 処分につき行為能力の制限を受けた者又は処分の権限を有しない者が賃貸借をする場合には、次の各号に掲げる賃貸借は、それぞれ当該各号に定める期間を超えることができない
一 樹木の栽植又は伐採を目的とする山林の賃貸借 十年
二 前号に掲げる賃貸借以外の土地の賃貸借 五年
三 建物の賃貸借 三年
四 動産の賃貸借 六箇月
604条
- 賃貸借の存続期間は、二十年を超えることができない。契約でこれより長い期間を定めたときであっても、その期間は、二十年とする。
- 賃貸借の存続期間は、更新することができる。ただし、その期間は、更新の時から二十年を超えることができない。
612条
- 賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない
- 賃借人が前項の規定に違反して第三者に賃借物の使用又は収益をさせたときは、賃貸人は、契約の解除をすることができる
623条
- 雇用は、当事者の一方が相手方に対して労働に従事することを約し、相手方がこれに対してその報酬を与えることを約することによって、その効力を生ずる。
631条
- 使用者が破産手続開始の決定を受けた場合には、雇用に期間の定めがあるときであっても、労働者又は破産管財人は、第六百二十七条の規定により解約の申入れをすることができる。この場合において、各当事者は、相手方に対し、解約によって生じた損害の賠償を請求することができない
632条
- 請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。
634条
- 仕事の目的物に瑕疵があるときは、注文者は、請負人に対し、相当の期間を定めて、その瑕疵の修補を請求することができる。ただし、瑕疵が重要でない場合において、その修補に過分の費用を要するときは、この限りでない。
- 注文者は、瑕疵の修補に代えて、又はその修補とともに、損害賠償の請求をすることができる。この場合においては、第五百三十三条の規定を準用する
635条
- 仕事の目的物に瑕疵があり、そのために契約をした目的を達することができないときは、注文者は、契約の解除をすることができる。ただし、建物その他の土地の工作物については、この限りでない。
636条
- 前二条の規定は、仕事の目的物の瑕疵が注文者の供した材料の性質又は注文者の与えた指図によって生じたときは、適用しない。ただし、請負人がその材料又は指図が不適当であることを知りながら告げなかったときは、この限りでない。
637条
- 前三条の規定による瑕疵の修補又は損害賠償の請求及び契約の解除は、仕事の目的物を引き渡した時から一年以内にしなければならない。
- 仕事の目的物の引渡しを要しない場合には、前項の期間は、仕事が終了した時から起算する
638条
- 建物その他の土地の工作物の請負人は、その工作物又は地盤の瑕疵について、引渡しの後五年間その担保の責任を負う。ただし、この期間は、石造、土造、れんが造、コンクリート造、金属造その他これらに類する構造の工作物については、十年とする。
- 工作物が前項の瑕疵によって滅失し、又は損傷したときは、注文者は、その滅失又は損傷の時から一年以内に、第六百三十四条の規定による権利を行使しなければならない
639条
- 第六百三十七条及び前条第一項の期間は、第百六十七条の規定による消滅時効の期間内に限り、契約で伸長することができる。
640条
- 請負人は、第六百三十四条又は第六百三十五条の規定による担保の責任を負わない旨の特約をしたときであっても、知りながら告げなかった事実については、その責任を免れることができない。
643条
- 委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる
644条
- 受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う
645条
- 受任者は、委任者の請求があるときは、いつでも委任事務の処理の状況を報告し、委任が終了した後は、遅滞なくその経過及び結果を報告しなければならない
651条
- 委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる。
- 当事者の一方が相手方に不利な時期に委任の解除をしたときは、その当事者の一方は、相手方の損害を賠償しなければならない。ただし、やむを得ない事由があったときは、この限りでない。
656条
- この節の規定は、法律行為でない事務の委託について準用する
700条~
703条
- 法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者(以下この章において「受益者」という。)は、その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う
709条
- 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
710条
- 他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。
711条
- 他人の生命を侵害した者は、被害者の父母、配偶者及び子に対しては、その財産権が侵害されなかった場合においても、損害の賠償をしなければならない
712条
- 未成年者は、他人に損害を加えた場合において、自己の行為の責任を弁識するに足りる知能を備えていなかったときは、その行為について賠償の責任を負わない
713条
- 精神上の障害により自己の行為の責任を弁識する能力を欠く状態にある間に他人に損害を加えた者は、その賠償の責任を負わない。ただし、故意又は過失によって一時的にその状態を招いたときは、この限りでない
714条
- 前二条の規定により責任無能力者がその責任を負わない場合において、その責任無能力者を監督する法定の義務を負う者は、その責任無能力者が第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、監督義務者がその義務を怠らなかったとき、又はその義務を怠らなくても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。
- 監督義務者に代わって責任無能力者を監督する者も、前項の責任を負う
715条
- ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。
- 使用者に代わって事業を監督する者も、前項の責任を負う。
- 前二項の規定は、使用者又は監督者から被用者に対する求償権の行使を妨げない。
717条
- 土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない
- 前項の規定は、竹木の栽植又は支持に瑕疵がある場合について準用する
- 前二項の場合において、損害の原因について他にその責任を負う者があるときは、占有者又は所有者は、その者に対して求償権を行使することができる
722条
- 第四百十七条の規定は、不法行為による損害賠償について準用する
- 被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができる
728条
- 姻族関係は、離婚によって終了する
- 夫婦の一方が死亡した場合において、生存配偶者が姻族関係を終了させる意思を表示したときも、前項と同様とする
731条
- 男は、十八歳に、女は、十六歳にならなければ、婚姻をすることができない。
732条
- 配偶者のある者は、重ねて婚姻をすることができない。
733条
- 女は、前婚の解消又は取消しの日から六箇月を経過した後でなければ、再婚をすることができない。
- 女が前婚の解消又は取消の前から懐胎していた場合には、その出産の日から、前項の規定を適用しない。
734条
- 直系血族又は三親等内の傍系血族の間では、婚姻をすることができない。ただし、養子と養方の傍系血族との間では、この限りでない。
- 第八百十七条の九の規定により親族関係が終了した後も、前項と同様とする。
735条
- 直系姻族の間では、婚姻をすることができない。第七百二十八条又は第八百十七条の九の規定により姻族関係が終了した後も、同様とする。
736条
- 養子若しくはその配偶者又は養子の直系卑属若しくはその配偶者と養親又はその直系尊属との間では、第七百二十九条の規定により親族関係が終了した後でも、婚姻をすることができない。
737条
- 未成年の子が婚姻をするには、父母の同意を得なければならない。
- 父母の一方が同意しないときは、他の一方の同意だけで足りる。父母の一方が知れないとき、死亡したとき、又はその意思を表示することができないときも、同様とする。
739条
- 婚姻は、戸籍法 (昭和二十二年法律第二百二十四号)の定めるところにより届け出ることによって、その効力を生ずる。
- 前項の届出は、当事者双方及び成年の証人二人以上が署名した書面で、又はこれらの者から口頭で、しなければならない。
742条
- 婚姻は、次に掲げる場合に限り、無効とする
ⅰ 人違いその他の事由によって当事者間に婚姻をする意思がないとき
ⅱ 当事者が婚姻の届出をしないとき。ただし、その届出が第七百三十九条第二項に
定める方式を欠くだけであるときは、婚姻は、そのためにその効力を妨げられな
い
750条
- 夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する
753条
- 未成年者が婚姻をしたときは、これによって成年に達したものとみなす
754条
- 夫婦間でした契約は、婚姻中、いつでも、夫婦の一方からこれを取り消すことができる。ただし、第三者の権利を害することはできない
760条
- 夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する
761条
- 夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為をしたときは、他の一方は、これによって生じた債務について、連帯してその責任を負う。ただし、第三者に対し責任を負わない旨を予告した場合は、この限りでない
762条
- 夫婦の一方が婚姻前から有する財産及び婚姻中自己の名で得た財産は、その特有財産(夫婦の一方が単独で有する財産をいう。)とする
- 夫婦のいずれに属するか明らかでない財産は、その共有に属するものと推定する
766条
- 父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者、父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない。
- 前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所が、同項の事項を定める。
- 家庭裁判所は、必要があると認めるときは、前二項の規定による定めを変更し、その他子の監護について相当な処分を命ずることができる。
- 前三項の規定によっては、監護の範囲外では、父母の権利義務に変更を生じない
772条
- 妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する。
- 婚姻の成立の日から二百日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から三百日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する。
774条
- 第七百七十二条の場合において、夫は、子が嫡出であることを否認することができる。
775条
- 前条の規定による否認権は、子又は親権を行う母に対する嫡出否認の訴えによって行う。親権を行う母がないときは、家庭裁判所は、特別代理人を選任しなければならない。
776条
- 夫は、子の出生後において、その嫡出であることを承認したときは、その否認権を失う。
777条
- 嫡出否認の訴えは、夫が子の出生を知った時から一年以内に提起しなければならない。
779条
- 嫡出でない子は、その父又は母がこれを認知することができる。
780条
- 認知をするには、父又は母が未成年者又は成年被後見人であるときであっても、その法定代理人の同意を要しない
781条
- 認知は、戸籍法 の定めるところにより届け出ることによってする
- 認知は、遺言によっても、することができる
782条
- 成年の子は、その承諾がなければ、これを認知することができない
783条
- 父は、胎内に在る子でも、認知することができる。この場合においては、母の承諾を得なければならない
- 父又は母は、死亡した子でも、その直系卑属があるときに限り、認知することができる。この場合において、その直系卑属が成年者であるときは、その承諾を得なければならない
787条
- 子、その直系卑属又はこれらの者の法定代理人は、認知の訴えを提起することができる。ただし、父又は母の死亡の日から三年を経過したときは、この限りでない
789条
- 父が認知した子は、その父母の婚姻によって嫡出子の身分を取得する
- 婚姻中父母が認知した子は、その認知の時から、嫡出子の身分を取得する
- 前二項の規定は、子が既に死亡していた場合について準用する
790条
- 嫡出である子は、父母の氏を称する。ただし、子の出生前に父母が離婚したときは、離婚の際における父母の氏を称する
- 嫡出でない子は、母の氏を称する
791条
- 子が父又は母と氏を異にする場合には、子は、家庭裁判所の許可を得て、戸籍法 の定めるところにより届け出ることによって、その父又は母の氏を称することができる。
- 父又は母が氏を改めたことにより子が父母と氏を異にする場合には、子は、父母の婚姻中に限り、前項の許可を得ないで、戸籍法 の定めるところにより届け出ることによって、その父母の氏を称することができる。
- 子が十五歳未満であるときは、その法定代理人が、これに代わって、前二項の行為をすることができる。
- 前三項の規定により氏を改めた未成年の子は、成年に達した時から一年以内に戸籍法 の定めるところにより届け出ることによって、従前の氏に復することができる。
797条
- 養子となる者が十五歳未満であるときは、その法定代理人が、これに代わって、縁組の承諾をすることができる
- 法定代理人が前項の承諾をするには、養子となる者の父母でその監護をすべき者であるものが他にあるときは、その同意を得なければならない。養子となる者の父母で親権を停止されているものがあるときも、同様とする
800条~
809条
- 養子は、縁組の日から、養親の嫡出子の身分を取得する
816条
- 養子は、離縁によって縁組前の氏に復する。ただし、配偶者とともに養子をした養親の一方のみと離縁をした場合は、この限りでない
- 縁組の日から七年を経過した後に前項の規定により縁組前の氏に復した者は、離縁の日から三箇月以内に戸籍法 の定めるところにより届け出ることによって、離縁の際に称していた氏を称することができる
818条
- 成年に達しない子は、父母の親権に服する。
- 子が養子であるときは、養親の親権に服する。
- 親権は、父母の婚姻中は、父母が共同して行う。ただし、父母の一方が親権を行うことができないときは、他の一方が行う
819条
- 父母が協議上の離婚をするときは、その協議で、その一方を親権者と定めなければならない。
- 裁判上の離婚の場合には、裁判所は、父母の一方を親権者と定める。
- 子の出生前に父母が離婚した場合には、親権は、母が行う。ただし、子の出生後に、父母の協議で、父を親権者と定めることができる。
- 父が認知した子に対する親権は、父母の協議で父を親権者と定めたときに限り、父が行う。
- 第一項、第三項又は前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所は、父又は母の請求によって、協議に代わる審判をすることができる。
- 子の利益のため必要があると認めるときは、家庭裁判所は、子の親族の請求によって、親権者を他の一方に変更することができる
820条
- 親権を行う者は、子の利益のために子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負う
821条
- 子は、親権を行う者が指定した場所に、その居所を定めなければならない
822条
- 親権を行う者は、第八百二十条の規定による監護及び教育に必要な範囲内でその子を懲戒することができる
823条
- 子は、親権を行う者の許可を得なければ、職業を営むことができない。
- 親権を行う者は、第六条第二項の場合には、前項の許可を取り消し、又はこれを制限することができる
824条
- 親権を行う者は、子の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為についてその子を代表する。ただし、その子の行為を目的とする債務を生ずべき場合には、本人の同意を得なければならない
825条
- 父母が共同して親権を行う場合において、父母の一方が、共同の名義で、子に代わって法律行為をし又は子がこれをすることに同意したときは、その行為は、他の一方の意思に反したときであっても、そのためにその効力を妨げられない。ただし、相手方が悪意であったときは、この限りでない
833条
- 親権を行う者は、その親権に服する子に代わって親権を行う
838条
- 後見は、次に掲げる場合に開始する
ⅰ.未成年者に対して親権を行う者がないとき、又は親権を行う者が管理権を有しない
とき
ⅱ.後見開始の審判があったとき
843条
- 家庭裁判所は、後見開始の審判をするときは、職権で、成年後見人を選任する
- 成年後見人が欠けたときは、家庭裁判所は、成年被後見人若しくはその親族その他の利害関係人の請求により又は職権で、成年後見人を選任する
- 成年後見人が選任されている場合においても、家庭裁判所は、必要があると認めるときは、前項に規定する者若しくは成年後見人の請求により、又は職権で、更に成年後見人を選任することができる
- 成年後見人を選任するには、成年被後見人の心身の状態並びに生活及び財産の状況、成年後見人となる者の職業及び経歴並びに成年被後見人との利害関係の有無(成年後見人となる者が法人であるときは、その事業の種類及び内容並びにその法人及びその代表者と成年被後見人との利害関係の有無)、成年被後見人の意見その他一切の事情を考慮しなければならない
847条
- 次に掲げる者は、後見人となることができない
ⅰ.未成年者
ⅱ.家庭裁判所で免ぜられた法定代理人、保佐人又は補助人
ⅲ.破産者
ⅳ.被後見人に対して訴訟をし、又はした者並びにその配偶者及び直系血族
ⅴ.行方の知れない者
858条
- 成年後見人は、成年被後見人の生活、療養看護及び財産の管理に関する事務を行うに当たっては、成年被後見人の意思を尊重し、かつ、その心身の状態及び生活の状況に配慮しなければならない
859条
- 後見人は、被後見人の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為について被後見人を代表する。
- 第八百二十四条ただし書の規定は、前項の場合について準用する
861条
- 後見人は、その就職の初めにおいて、被後見人の生活、教育又は療養看護及び財産の管理のために毎年支出すべき金額を予定しなければならない。
- 後見人が後見の事務を行うために必要な費用は、被後見人の財産の中から支弁する。
862条
- 家庭裁判所は、後見人及び被後見人の資力その他の事情によって、被後見人の財産の中から、相当な報酬を後見人に与えることができる。
863条
- 後見監督人又は家庭裁判所は、いつでも、後見人に対し後見の事務の報告若しくは財産の目録の提出を求め、又は後見の事務若しくは被後見人の財産の状況を調査することができる。
- 家庭裁判所は、後見監督人、被後見人若しくはその親族その他の利害関係人の請求により又は職権で、被後見人の財産の管理その他後見の事務について必要な処分を命ずることができる
876条
- 保佐は、保佐開始の審判によって開始する
876条の2
- 家庭裁判所は、保佐開始の審判をするときは、職権で、保佐人を選任する
- 第八百四十三条第二項から第四項まで及び第八百四十四条から第八百四十七条までの規定は、保佐人について準用する
- 保佐人又はその代表する者と被保佐人との利益が相反する行為については、保佐人は、臨時保佐人の選任を家庭裁判所に請求しなければならない。ただし、保佐監督人がある場合は、この限りでない
876条の4
- 家庭裁判所は、第十一条本文に規定する者又は保佐人若しくは保佐監督人の請求によって、被保佐人のために特定の法律行為について保佐人に代理権を付与する旨の審判をすることができる
- 本人以外の者の請求によって前項の審判をするには、本人の同意がなければならない
- 家庭裁判所は、第一項に規定する者の請求によって、同項の審判の全部又は一部を取り消すことができる
876条の5
- 保佐人は、保佐の事務を行うに当たっては、被保佐人の意思を尊重し、かつ、その心身の状態及び生活の状況に配慮しなければならない。
- 第六百四十四条、第八百五十九条の二、第八百五十九条の三、第八百六十一条第二項、第八百六十二条及び第八百六十三条の規定は保佐の事務について、第八百二十四条ただし書の規定は保佐人が前条第一項の代理権を付与する旨の審判に基づき被保佐人を代表する場合について準用する。
- 第六百五十四条、第六百五十五条、第八百七十条、第八百七十一条及び第八百七十三条の規定は保佐人の任務が終了した場合について、第八百三十二条の規定は保佐人又は保佐監督人と被保佐人との間において保佐に関して生じた債権について準用する。
876条の6
- 補助人の同意を得なければならない行為であって、その同意又はこれに代わる許可を得ないでしたものは、取り消すことができる
876条の7
- 家庭裁判所は、補助開始の審判をするときは、職権で、補助人を選任する
- 第八百四十三条第二項から第四項まで及び第八百四十四条から第八百四十七条までの規定は、補助人について準用する
- 補助人又はその代表する者と被補助人との利益が相反する行為については、補助人は、臨時補助人の選任を家庭裁判所に請求しなければならない。ただし、補助監督人がある場合は、この限りでない
876条の10
- 第六百四十四条、第八百五十九条の二、第八百五十九条の三、第八百六十一条第二項、第八百六十二条、第八百六十三条及び第八百七十六条の五第一項の規定は補助の事務について、第八百二十四条ただし書の規定は補助人が前条第一項の代理権を付与する旨の審判に基づき被補助人を代表する場合について準用する。
- 第六百五十四条、第六百五十五条、第八百七十条、第八百七十一条及び第八百七十三条の規定は補助人の任務が終了した場合について、第八百三十二条の規定は補助人又は補助監督人と被補助人との間において補助に関して生じた債権について準用する
877条
- 直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある
- 家庭裁判所は、特別の事情があるときは、前項に規定する場合のほか、三親等内の親族間においても扶養の義務を負わせることができる
- 前項の規定による審判があった後事情に変更を生じたときは、家庭裁判所は、その審判を取り消すことができる
878条
- 扶養をする義務のある者が数人ある場合において、扶養をすべき者の順序について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所が、これを定める。扶養を受ける権利のある者が数人ある場合において、扶養義務者の資力がその全員を扶養するのに足りないときの扶養を受けるべき者の順序についても、同様とする
879条
- 扶養の程度又は方法について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、扶養権利者の需要、扶養義務者の資力その他一切の事情を考慮して、家庭裁判所が、これを定める
887条
- 被相続人の子は、相続人となる
- 被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、又は第八百九十一条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。ただし、被相続人の直系卑属でない者は、この限りでない
- 前項の規定は、代襲者が、相続の開始以前に死亡し、又は第八百九十一条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その代襲相続権を失った場合について準用する
888条
- 削除
889条
- 次に掲げる者は、第八百八十七条の規定により相続人となるべき者がない場合には、次に掲げる順序の順位に従って相続人となる。
ⅰ 被相続人の直系尊属。ただし、親等の異なる者の間では、その近い者を先にす
る。
ⅱ 被相続人の兄弟姉妹 - 第八百八十七条第二項の規定は、前項第二号の場合について準用する
890条
- 被相続人の配偶者は、常に相続人となる。この場合において、第八百八十七条又は前条の規定により相続人となるべき者があるときは、その者と同順位とする
896条
- 相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない
897条
- 系譜、祭具及び墳墓の所有権は、前条の規定にかかわらず、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する。ただし、被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者が承継する
- 前項本文の場合において慣習が明らかでないときは、同項の権利を承継すべき者は、家庭裁判所が定める
898条
- 相続人が数人あるときは、相続財産は、その共有に属する。
899条
- 各共同相続人は、その相続分に応じて被相続人の権利義務を承継する
900条~
900条
同順位の相続人が数人あるときは、その相続分は、次の各号の定めるところによる。
- 子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各二分の一とする。
- 配偶者及び直系尊属が相続人であるときは、配偶者の相続分は、三分の二とし、直系尊属の相続分は、三分の一とする。
- 配偶者及び兄弟姉妹が相続人であるときは、配偶者の相続分は、四分の三とし、兄弟姉妹の相続分は、四分の一とする。
- 子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。ただし、嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の相続分の二分の一とし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の二分の一とする。
901条
- 第八百八十七条第二項又は第三項の規定により相続人となる直系卑属の相続分は、その直系尊属が受けるべきであったものと同じとする。ただし、直系卑属が数人あるときは、その各自の直系尊属が受けるべきであった部分について、前条の規定に従ってその相続分を定める
- 前項の規定は、第八百八十九条第二項の規定により兄弟姉妹の子が相続人となる場合について準用する
902条
- 被相続人は、前二条の規定にかかわらず、遺言で、共同相続人の相続分を定め、又はこれを定めることを第三者に委託することができる。ただし、被相続人又は第三者は、遺留分に関する規定に違反することができない。
- 被相続人が、共同相続人中の一人若しくは数人の相続分のみを定め、又はこれを第三者に定めさせたときは、他の共同相続人の相続分は、前二条の規定により定める
903条
- 共同相続人中に、被相続人から、遺贈を受け、又は婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けた者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与の価額を加えたものを相続財産とみなし、前三条の規定により算定した相続分の中からその遺贈又は贈与の価額を控除した残額をもってその者の相続分とする。
- 遺贈又は贈与の価額が、相続分の価額に等しく、又はこれを超えるときは、受遺者又は受贈者は、その相続分を受けることができない。
- 被相続人が前二項の規定と異なった意思を表示したときは、その意思表示は、遺留分に関する規定に違反しない範囲内で、その効力を有する。
904条
- 前条に規定する贈与の価額は、受贈者の行為によって、その目的である財産が滅失し、又はその価格の増減があったときであっても、相続開始の時においてなお原状のままであるものとみなしてこれを定める
904条の2
- 共同相続人中に、被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付、被相続人の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から共同相続人の協議で定めたその者の寄与分を控除したものを相続財産とみなし、第九百条から第九百二条までの規定により算定した相続分に寄与分を加えた額をもってその者の相続分とする。
- 前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所は、同項に規定する寄与をした者の請求により、寄与の時期、方法及び程度、相続財産の額その他一切の事情を考慮して、寄与分を定める。
- 寄与分は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から遺贈の価額を控除した残額を超えることができない。
- 第二項の請求は、第九百七条第二項の規定による請求があった場合又は第九百十条に規定する場合にすることができる。
908条
- 被相続人は、遺言で、遺産の分割の方法を定め、若しくはこれを定めることを第三者に委託し、又は相続開始の時から五年を超えない期間を定めて、遺産の分割を禁ずることができる
909条
- 遺産の分割は、相続開始の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない
915条
- 相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。
- 相続人は、相続の承認又は放棄をする前に、相続財産の調査をすることができる。
922条
- 相続人は、相続によって得た財産の限度においてのみ被相続人の債務及び遺贈を弁済すべきことを留保して、相続の承認をすることができる
939条
- 相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす。
951条
- 相続人のあることが明らかでないときは、相続財産は、法人とする。
952条
- 前条の場合には、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求によって、相続財産の管理人を選任しなければならない。
- 前項の規定により相続財産の管理人を選任したときは、家庭裁判所は、遅滞なくこれを公告しなければならない。
953条
- 第二十七条から第二十九条までの規定は、前条第一項の相続財産の管理人(以下この章において単に「相続財産の管理人」という。)について準用する。
954条
- 相続財産の管理人は、相続債権者又は受遺者の請求があるときは、その請求をした者に相続財産の状況を報告しなければならない。
955条
- 相続人のあることが明らかになったときは、第九百五十一条の法人は、成立しなかったものとみなす。ただし、相続財産の管理人がその権限内でした行為の効力を妨げない。
956条
- 相続財産の管理人の代理権は、相続人が相続の承認をした時に消滅する。
- 前項の場合には、相続財産の管理人は、遅滞なく相続人に対して管理の計算をしなければならない。
957条
- 第九百五十二条第二項の公告があった後二箇月以内に相続人のあることが明らかにならなかったときは、相続財産の管理人は、遅滞なく、すべての相続債権者及び受遺者に対し、一定の期間内にその請求の申出をすべき旨を公告しなければならない。この場合において、その期間は、二箇月を下ることができない。
第九百二十七条第二項から第四項まで及び第九百二十八条から第九百三十五条まで(第九百三十二条ただし書を除く。)の規定は、前項の場合について準用する。
958条
- 前条第一項の期間の満了後、なお相続人のあることが明らかでないときは、家庭裁判所は、相続財産の管理人又は検察官の請求によって、相続人があるならば一定の期間内にその権利を主張すべき旨を公告しなければならない。この場合において、その期間は、六箇月を下ることができない。
958条の2
- 前条の期間内に相続人としての権利を主張する者がないときは、相続人並びに相続財産の管理人に知れなかった相続債権者及び受遺者は、その権利を行使することができない。
958条の3
- 前条の場合において、相当と認めるときは、家庭裁判所は、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者その他被相続人と特別の縁故があった者の請求によって、これらの者に、清算後残存すべき相続財産の全部又は一部を与えることができる。
959条
- 前条の規定により処分されなかった相続財産は、国庫に帰属する。この場合においては、第九百五十六条第二項の規定を準用する。
960条
- 遺言は、この法律に定める方式に従わなければ、することができない。
968条
- 自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。
- 自筆証書中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。
969条
- 公正証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない。
①証人二人以上の立会いがあること。
②遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授すること。
③公証人が、遺言者の口述を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせ、
又は閲覧させること。
④遺言者及び証人が、筆記の正確なことを承認した後、各自これに署名し、
印を押すこと。ただし、遺言者が署名することができない場合は、
公証人がその事由を付記して、署名に代えることができる。
⑤公証人が、その証書は前各号に掲げる方式に従って作ったものである旨を
付記して、これに署名し、印を押すこと。
969条の2
- 口がきけない者が公正証書によって遺言をする場合には、遺言者は、公証人及び証人の前で、遺言の趣旨を通訳人の通訳により申述し、又は自書して、前条第二号の口授に代えなければならない。この場合における同条第三号の規定の適用については、同号中「口述」とあるのは、「通訳人の通訳による申述又は自書」とする。
- 前条の遺言者又は証人が耳が聞こえない者である場合には、公証人は、同条第三号に規定する筆記した内容を通訳人の通訳により遺言者又は証人に伝えて、同号の読み聞かせに代えることができる。
- 公証人は、前二項に定める方式に従って公正証書を作ったときは、その旨をその証書に付記しなければならない。
974条
- 次に掲げる者は、遺言の証人又は立会人となることができない。
①未成年者
②推定相続人及び受遺者並びにこれらの配偶者及び直系血族
③公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び使用人
975条
- 遺言は、二人以上の者が同一の証書ですることができない
976条
- 疾病その他の事由によって死亡の危急に迫った者が遺言をしようとするときは、証人三人以上の立会いをもって、その一人に遺言の趣旨を口授して、これをすることができる。この場合においては、その口授を受けた者が、これを筆記して、遺言者及び他の証人に読み聞かせ、又は閲覧させ、各証人がその筆記の正確なことを承認した後、これに署名し、印を押さなければならない。
- 口がきけない者が前項の規定により遺言をする場合には、遺言者は、証人の前で、遺言の趣旨を通訳人の通訳により申述して、同項の口授に代えなければならない。
- 第一項後段の遺言者又は他の証人が耳が聞こえない者である場合には、遺言の趣旨の口授又は申述を受けた者は、同項後段に規定する筆記した内容を通訳人の通訳によりその遺言者又は他の証人に伝えて、同項後段の読み聞かせに代えることができる。
- 前三項の規定によりした遺言は、遺言の日から二十日以内に、証人の一人又は利害関係人から家庭裁判所に請求してその確認を得なければ、その効力を生じない。
- 家庭裁判所は、前項の遺言が遺言者の真意に出たものであるとの心証を得なければ、これを確認することができない。
982条
- 第九百六十八条第二項及び第九百七十三条から第九百七十五条までの規定は、第九百七十六条から前条までの規定による遺言について準用する。
983条
- 第九百七十六条から前条までの規定によりした遺言は、遺言者が普通の方式によって遺言をすることができるようになった時から六箇月間生存するときは、その効力を生じない。
1000条~
1004条
- 遺言書の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければならない。遺言書の保管者がない場合において、相続人が遺言書を発見した後も、同様とする。
- 前項の規定は、公正証書による遺言については、適用しない。
- 封印のある遺言書は、家庭裁判所において相続人又はその代理人の立会いがなければ、開封することができない。
1005条
- 前条の規定により遺言書を提出することを怠り、その検認を経ないで遺言を執行し、又は家庭裁判所外においてその開封をした者は、五万円以下の過料に処する
1022条
- 遺言者は、いつでも、遺言の方式に従って、その遺言の全部又は一部を撤回することができる
1023条
- 前の遺言が後の遺言と抵触するときは、その抵触する部分については、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなす
- 前項の規定は、遺言が遺言後の生前処分その他の法律行為と抵触する場合について準用する
1024条
- 遺言者が故意に遺言書を破棄したときは、その破棄した部分については、遺言を撤回したものとみなす。遺言者が故意に遺贈の目的物を破棄したときも、同様とする
1025条
- 前三条の規定により撤回された遺言は、その撤回の行為が、撤回され、取り消され、又は効力を生じなくなるに至ったときであっても、その効力を回復しない。ただし、その行為が詐欺又は強迫による場合は、この限りでない
1028条
- 兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める割合に相当する額を受ける。
① 直系尊属のみが相続人である場合 被相続人の財産の三分の一
② 前号に掲げる場合以外の場合 被相続人の財産の二分の一